さすらい姉妹、来年の野戰攻城の準備の合間をぬって、「出雲阿國航海記」のサウンドトラックの製作が始動!「アントロポセンの空舟」のCDに引き続き小林直樹、楠瀬咲琴が全面協力。そして作曲者のひとりである東野康弘の指揮のもと、出演役者が会してのレコーディングが行われた。場所は違えどあの時の臨場感をもういちど現出すべくさまざまな工夫が試みられていく。発売は少し先になりますが楽しみにお待ちください。
高野幸雄デザインチラシ完成!
今秋〜年末年始のさすらい姉妹「むすんでひらいて」と来年の本公演のカップリング予告チラシが完成!役者としても登場する高野幸雄のデザインです。そして裏面には来年の本公演「新 漂流都市」の案内が!翠羅臼が書き下ろした台本が四半世紀の刻を経て新たな布陣のもとよみがえります。現在さすらい姉妹と同時進行して鋭意製作中。どう転んでも水族館劇場にとってはじめての試みであることは間違いありません。期待して待て!
さすらい姉妹『むすんでひらいて』
原案 ジャン=ジャック・ルソー
戯作 桃山邑+千葉大二郎
工作 毛利嘉孝
音楽 東野康弘
10月6日(木) 美麻遊学舎跡地(信濃大町) 18:00 開演
8日(土) 太子堂 八幡神社(三軒茶屋) 19:00 開演
9日(日) 太子堂 八幡神社(三軒茶屋) 19:00 開演
10日(月・祝) 原爆の図・丸木美術館(東松山市) 15:00 開演
桃山邑の仰臥漫録②ロシアとシリア
珍しく(というより初めての)推薦図書である。7月に出たばかりの『ロシアとシリア ウクライナ侵攻の論理』東京外大教授 青山弘之著。岩波書店刊。帯にいわく「なぜウクライナは世界の関心を集めシリアは‶黙殺〞」されるのか。
そのとおりである。シリア内戦との相似形を突き進む、やせ我慢の大国と尻に火のついた覇権国家のメンツが中東の泥沼紛争と同じ道を辿らないよう警告を発したタイムリーな時事企画本である。これに関しては岩波書店、エライ!著者は若き中東の政治情勢専門家。いっけん結びつきのないふたつの国だが、さすらい姉妹は一昨年、去年と「モスラ」「のざらし姫」を上演してきた。云うまでもない。前者はロジャバ革命、後者はウクライナ紛争を起点に物語を構成した。ぼくたちの真意は、一方的なマスメディアの自由と民主主義の押し付けに抵抗することだった。ぜひともご一読を!青山先生、頑張れ!
美麻遊学舎と水族館劇場
美麻遊学舎跡地(信濃大町)
1970年代に長野県の美麻に、廃村になった村の小・中学校を宿泊施設に再生することで発足した美麻遊学舎は、様々なワークショップや合宿、美術作品のアトリエとして利用されるコミューンだった。
水族館劇場との縁は、そこのオーナーである吉田比登志、精子さん夫妻が合宿地として場所を提供してくれたことに始まる。
時は流れ、公演中止に追い込まれた2020年から再出発を遂げた昨年の、集団にとって厳しい時期にあたたかい励ましの声を届けてくださり、今回の公演にも駆けつけてくれた精子さん。現在建物は焼失してしまったが、その跡地で今秋のさすらい姉妹の初日は幕を開ける。
桃山邑の仰臥漫録、第一通信!
「出雲阿國航海記」楽屋に訪ねて来てくれた大好きなロックミュージシャン、PANTAと。副司令官が現場に踏みとどまっていた最後の日だった。
元・副司令官は、疾病にたおれても、なにかと戦っていなければ気が済まないのか。リスクのある治療を受ける病院さがしで散々な目に遭い、結局、信頼できる東大病院に戻った大騒ぎの一週間だった。書き手としての本能が疼くのだろう。これからの水族館劇場の、歩むべき道に某かの羅針盤を残そうとしてくれている。病床から送られてきた心配の種を面白おかしく再録することも、むべなるかな。ではその一部始終、ではなく秋のさすらい姉妹につながるテーマの部分をピックアップしましょう。もちろんアフォリズムみたいなものだから、つながりもあやふや。体調のいいときに、メールしてきたりするのを書き留めただけだ。そんな日も少しずつ減ってゆく。無常の風が吹きわたる。
桃山より役者たちへ。
「お元気ですかなんて、まもなくこの世とおさらばする奴に云われたくないよなぁ。ますます大変な世の中になってきたけど、諸君らのアジェンダが緻密な目論見として日の目をみることになればいいと思ってる。俺の使命は台本だ。苦しくても書き上げるよ。今回のテーマはずばりフランス革命。およびその負性に眼をむける。大坂なおみはなぜ全仏オープンとあんなにまで相性悪いのか?奴隷制というシステムから「外部」へ突き抜けようとしたハイチのブラックジャコバンが視たものは?そのとき黄金の島ジパングは何をしてたの?瑞穂幼稚園のまことちゃんが、ぐわっし!ぐわっし!と社会科見学。またしても出鱈目きわまる台本だ。覚悟しとけよ」
大阪で展示中の千葉大二郎が帰ったら、すぐにでも全面展開しそうな勢いだ。今回は桃山のたっての望みで、「原爆の図・丸木美術館」と「美麻遊学舎」というあたらしい場所での公演が追加される予定です。桃山が最前線にいない、最初の舞台。応援よろしくま!
羽村での2年目の野戰攻城、すべて終了!
季節がいつのまにか初夏を迎えるなか、無事にすべての仮設劇場資材を解体・収納し、もとの駐車場に戻すことができました。桜が芽吹くころから、公演日の延期と追加公演をはさんで3ヶ月にわたる野営をあたたかく見守ってくださった宗禅寺をはじめとする近隣の方々と、連日詰めかけてくださった全国の水族館劇場ファンのみなさま。たくさんの声援、たいへん励みになりました。
これからの旅にむけて、水族館劇場はすでに息つく間もなく動きはじめています。またふたたび多くのみなさんと一夜の夢をみるために。ほんとうにありがとうございました。
野戰攻城、いよいよ終盤へ!
連日の猛暑のなか、撤収作業は佳境を迎える。お寺のご好意により敷地内に資材小屋を建設。諏訪ベースから移動したものも含め4トントラック数台ぶんにおよぶ資材を運び入れていく。
野戰攻城はすべてを片づけて、地面に残された釘1本を拾いきるまで終わらない。
すこし先のことですがご案内。棟梁・秋浜立が宗禅寺で月1回開かれる土曜講座で今回の公演のことや水族館劇場のこれからについて話します。9月17日(土)。ぜひご参集ください。
闘病中の桃山からメッセージ!
2015 松尾工務店 川崎の現場屋上ⓒ武田克彦
全国の水族館劇場ファン、サポーターのみなさま。
「Naufrágio 出雲阿國航海記」たくさんの見物衆を集めて無事終了したときいております。最後のゴミ拾いまで終えて一件落着とかんがえているので、まだ安心するのは禁物ですが、とりあえず「乾杯!」ですね。もう酒はうけつけない身体になってしまいましたけれど。さて、手前味噌ですが水族館劇場の風物詩ともなっていた、香具師のような客入れ口上と役者紹介をはたせず申し訳なく感じていました。疲弊した姿をみせたくない思いもありましたし、なにより体力がもたなかった。楽屋脇の母屋のベッドで、たずねてくれる関係者のみなさまへのご挨拶も4日が限度でした。本番中に体力は尽き、二度目の緊急入院。ステント入れ替え施術をしてすぐに転院、抗癌剤投与へ。ようやく目処がつき、今月末には退院予定です。病状がいい方向に向かったわけではありません。所詮延命治療ですが、すこしでも長くこの世に生きて、新作を残したいと考えるのです。副作用で意識朦朧となる日もあり、確実に死が近づいているのは実感しています。せめて夏にかけて台本を書きながら穏やかな時間をすごしたいですね。公演期間中、限られた時間をすべて台本執筆にあてるため、連絡を遮断してしまい、ご迷惑をかけたかたがたも少なくないでしょう。予定は未定ですが、体調のいい日には面会も可能かもしれません。お詫びかたがた現状をお伝えし、希望を最後まですてない在りかたを模索してまいります。
水族館劇場 副司令官 桃山邑
天飈の鹿砦、ちゃくちゃくと解体すすむ!
大好評のうちに幕をとじた「出雲阿國航海記」は秋浜棟梁以下、一丸となってばらしを遂行しています。すでに半分以上は解体、お世話になった松尾工務店に資材を返却しはじめたところです。平行して今回の舞台の総括も継続しています。来年よりよき芝居をこしらえるための、厳しい相互批評の場です。次回の野戰攻城は桃山の劇作上での師匠、翠羅臼が作演出を担当するダイナミックな新作です。まだ詳細は発表できませんが、渋さ知らズの不破大輔さんが音楽をひきうけてくれました。「本田工務店のテーマ」に劣らない名曲を期待してください。役者もあっと驚く新布陣でのぞみます。翠羅臼の旗のもとに集まった、うまれかわる野戰攻城をお楽しみに。桃山の現状報告も。現在、東大病院にて抗がん剤投与の治療をうけています。順当なら今月末日にも退院予定。台本を書き上げるため、いままで連絡を絶っていた関係者のみなさまとも少しずつ関係を復活させると云っております。芝居成立のためとはいえ、不義理をおかけしたみなさまに謝罪します。彼が宣言したように水族館劇場は死にません。秋のさすらい姉妹もすでに新作「むすんでひらいて」の台本執筆にはいりました。若き美術家、千葉大二郎と共同台本です。今後ともみなさまのあたたかいサポート、よろしくお願いします。
全公演終了。ありがとうございました!
初週延期と追加公演という水族館劇場にとって異例づくめの「出雲阿國航海記」、無事に全公演を終えることができました。これもひとえに羽村の地のみなさまと遠方から駆けつけてくださった水族館劇場ファンのみなさまのあたたかいまなざしがあったからこそ。ほんとうにありがとうございました。
不思議な縁にみちびかれ、この地に座を移して2年目。今回もたくさんの声援をいただきました。これからもつづく野戰攻城をどうぞご贔屓に。つぎは秋の太子堂、さすらい姉妹でお会いしましょう!