水族館劇場副司令官・桃山邑、これにて退散仕る②補遺


工藤正市は津軽のブリューゲルって勝手に呼んでる。飯場にはいったときからまわりの職人はみんな津軽の出稼ぎだったからさ、格別おもいがあるのかなぁ?何度も遊びにいってるし。永山則夫が処刑された夏、板柳の長屋にもいったなぁ。朽ちかけてたけど、まだ取り壊されてなかったよ。

——みんな東北ですね

川田喜久治は北関東だよ。俺ん家のほう。やっぱり西のほうには近づきたくないのかもしれないね。「地図」のオリジナルは数十万するから手が出ない。月曜社という人文系の出版社がキチンと復刻してくれたんで買っちゃった。

——森山大道とかどうなんでしょう?

あんまりよくわかんない。なんか時代の文脈ごと透けて見えちゃうような部分があるだろ。そこがいいのかもしれないけど、ちょっときついな。ぜんぜん脈絡ないけど、志村けんの芸がダメなんだよ。ものすごい緻密に笑いを組み立てて稽古重ねるような底がみえたとたん、こっちが苦しくなるんだ。いい加減が一番かな。

工藤正市 新町通り(富士屋デパート前)

川田喜久治「地図」復刻 2005 月曜社