辺境で、大都市で、黒い硝煙が立ちのぼっている。ミャンマー、シリア、コンゴ、イエメン。数え上げたらキリがない。見たくないものは見ようとしない明盲目の国ニッポンで、一方的に垂れ流される自由と民主主義の正義の大合唱。何ひとつ失わない、誰ひとり傷つかない、うわべだけの痛みにはりつめた熱狂。したり顔で解説する、テレビの低脳ぶりに煽られて、リベラルの真の意味も理解できず、わたくしたちの国は暴走してゆく。政治が行き詰まり、世の中が混沌とすればするほど諸現象を善悪のダイコトミーで篩にかけ、彼我の陣営わけを要求する。ショウザフラッグ?そんな詭弁に踊らされない。世界を色分けする国境線をひくな。水族館劇場は絶対の自由を生きるために世の大勢に与しない。これからも深い嘆きとあえかな望みをたたえたカナリアの歌をうたい続ける。この星がこわれる前に。
天飈の鹿砦、愈々建て込み開始!
多摩川上水の桜も満開に微笑むなか、羽村での二年目の建て込みが始まった。
芝居とは永遠と瞬間の交錯する夢魔の時間。時代が変わっても通底してゆく普遍的な要素と、いま、ここでしか叶わないアクチュアルな要素を綾織りに物語を綴ってゆく。シェイクスピアの昔から舞台の王道である。
今回、台本の構想を終え、執筆に取り掛からんとしたところでプーチンが軍事侵攻を開始した。ウクライナ戦争に関してのわれわれの立ち位置は前回報告したとおりだが、台本作者にはこの世界の加速度的憂鬱を是非とも芝居に取り込んで貰わなければ。構想は全て練り直し!チラシのストーリーは根本的に廃棄された。いつものことか….。
新しい物語はベトナム戦争当時、沖縄の米軍基地を抜け出した脱走兵が諜報船に乗せられ根室ルートでソビエトに亡命するところから幕をあける。剽窃、謀術を自在に操る桃山渾身の夢幻劇!お楽しみに!
2022野戰攻城、開始!5/29にはクラウンフェスティバル!
全国の水族館劇場ファンのみなさま。お待たせしました。パンデミックもなんのその。細心の配慮を施しながら本年度の野戰攻城がはじまりました。今年はお寺とも相談、待ち時間を利用したいろいろな企画をたてました。
宣材であるチラシを印刷後、ウクライナ戦争が始まりました。同時にお世話になっている大島幹雄さんから、本来キエフで行われる予定だったクラウンフェスティバルにエールを送る催しを日本で開催したい。ついては水族館劇場の野外舞台を会場に、という打診がありました。大島さんは膝の悪い親友がキエフに閉じ込められているみたいで本当に心配していました。
日時は5月29日午後1時から3時。決定です。わたくしは藝能の民が政治にストレートな発言をすることを固く戒めてきました。政治こそが藝能に奉仕すべきだと強く信じるからです。その戒めを破ります。報道疲れが出始めたとはいえ、あまりに偏った情報が垂れ流す世界の熱狂には毅然とした声をあげなければならないと考えました。
「プーチンでもない。ゼレンスキーでもない。今すぐに戦争をやめろ」
これはわたくしが敬愛するサパティスタ民族解放軍が出した声明です。リーダーであるマルコス副司令官は、この戦争を基底部で支えるシステムと闘わなければ虐げられ隅に追いやられた者たちの声はとらえられないと強く戦争状態を非難しました。システムとはなにか。自由と民主主義の名の下に富を独占し、弱者を廃棄するグローバル経済を形成する潮流が生み出す支配態勢です。マルコスは豊かさを物資に求めません。こういう至極まっとうなメッセージがあまりにも少ない。この国の報道でまともなバランスを持つのはスポンサーを持たないいくつかのネット番組くらいです。わたくしたちは2003年、アメリカが出鱈目な情報をもとにイラクへ軍事侵攻したとき、翠羅臼や桜井大造とともに抵抗23の旗のもと渋谷で歌舞音曲の反戦デモをくりひろげました。その時だれひとり反戦デモ隊がフセインの味方だなどと考えもしなかったでしょう。アフガニスタンしかり。パレスチナしかり。真実を写す鏡だけが未来の可能性を袂に引き寄せることができるのです。わたくしたちは現代河原者です。風変りな芝居をお見せする藝能者に過ぎません。だからこそ声を大に叫びたい。今すぐ戦争をやめろ!戦争の熱狂をクールに拒否しろ!
2022野戰攻城決定!
全国の水族館劇場ファンのみなさま、お待たせしました!本年度の野戰攻城の概要を発表します。
つぎからつぎへと変異するコロナウィルスの感染のゆくすえを睨みながら、GOサインを控えてきましたが予定通り敢行することを決定しました。もちろんパンデミックは収束したわけではなく、昨年同様これからの感染拡大次第で延期する選択肢は残してあります。コロナだけではない、世界情勢も大変不安定な時代の影がますます色濃くなっていることをヒシヒシと感じます。こういうときだからこそ、芝居者はただ黙ってマイナス要因がとおりすぎるのを座してやりすごすだけでは存在理由がなくなると確信しています。これは不能に終わった「乾船渠八號」公演から一環した水族館劇場の方針です。
今回もあらゆる防衛策を講じて一夜の宴をひらきたいと考えています。お誘い合わせの上、ぜひご参集を。
花に坐し、月に酔えば、生きすぎたりや南無八幡
◉顔見卋 わんざくれの石礫 ◉序 水の滸りのアラベスク ◉破 怪物から天球へ ◉急 アガルタの星の凱歌 ◉切 草木虫魚の迷宮
Naufrágio 出雲阿國航海記
剽窃 謀術 桃山邑
5/19㊍20㊎21㊏22㊐ 27㊎28㊏29㊐30㊊31㊋6/1㊌ 3㊎4㊏5㊐
臨済宗建長寺派 宗禅寺 第二駐車場 特設野外儛臺 天飈の鹿砦
全公演 夜7時 開演 木戸銭4000円 全席自由
特別イベントも目白押し!
〈仮題〉Back To 1972 沖縄本土復帰50年に寄せて
ゲスト未定。5月28日㊏ 午後2時 OPEN※沖繩、辺野古基地ゲート前で上演した、さすらい姉妹「陸奥の運玉義留」作演出・ 翠羅臼 ビデオ上映あり。
昭和の阿国・一条さゆりをめぐって
ゲスト川上譲治。6月2日㊍ 夜7時OPEN
芝居上演日+6月2日の併催 開場午後4時~
①鬼海弘雄 野外写真展「人間の海2022」
②千葉大二郎 野外展「HASSUISM-野戰攻城編」
③流浪する古書展 劇場脇天幕にて 古本遊戯 流浪堂主催
詳しくはこちらからご確認ください。
さすらい姉妹、大団円!
新春のあたたかい陽射しにつつまれた羽村・宗禅寺。早いものでこのお寺に、さすらい姉妹は三度目の登場だ。寄せ場の解体、遍在化がすすむなか、もうひとつの東京ベース、三軒茶屋・太子堂八幡神社での秋の例大祭とならんで拠点として定着しつつあるようだ。昨日は「のざらし姫」千秋楽。地元のお客さんと都心から来てくれる水族館ファンの期待に応えるように役者陣は全力を振り絞った。
さあ、つぎは春の野戰攻城。昨年以上のスペルタクルをご覧にいれようと棟梁の秋浜立はあたらしい劇場設計にとりかかる。すこしずつこの地に溶け込んでゆくために、芝居だけではないいろんなイベントも企画してゆく。羽村のひとびとと何がつくれるか。一年一年、フレッシュな感覚で舞台を拵えてゆくつもり。
野戰攻城2022「Naufrágio 出雲阿國航海記 」は5月中旬開幕。詳細は追ってウェブサイトで発表。お楽しみに。
さすらい姉妹「のざらし姫」いよいよラスト!
官民一体となった再開発によって追われゆく者たちの抵抗。生きる場所を確保するための、過酷な戦いを強いられた美竹公園にひとときの楽しい時間を、という思いで寒風のなか、さすらい姉妹は渋谷の路上にたちました。
寄せ場巡演三日目を無事終了した路上ユニットは、いよいよ千秋楽を迎えます。ラストステージは羽村宗禅寺境内、本堂前。14時開演。
さすらい姉妹は昨年もこのお寺で寄せ場巡演を打ち上げました。一日で一番あたたかい時間を狙っての幕開け。お天気にもよりますが舞台がハネたあと、見物衆のみなさまと野外で乾杯くらいはしたいと思います。
そして春には野戰攻城「出雲阿國.航海記」年末年始、奮戦した六名の役者陣に、体調温存のため休んでいた風兄宇内、石井理加をくわえ、さらに伊藤裕作、赫十牙、伊丹宗丞、千葉大二郎、西表カナタ、癸生川栄&鳩、二見彰らが合流を表明しました。さらに桃山の曲馬舘︀時代の師匠、翠羅臼が登場します。賑やかな舞台になります。どちらもお見逃しなきよう。
神出鬼没のさすらい姉妹、今日は渋谷・美竹公園!
アウトオブトリエンナーレとして3ヶ月におよぶ「盜賊たちのるなぱあく」を開催するなど、寄せ場のなかでも縁が深い活動をしてきた横浜寿町。例年のように手厚い態勢をしいて迎えてくれました。70名を超す観客は開演30分前から開場に集結。ほんとうに芝居を楽しみに待っていてくれた街のみなさんに感謝。さすらい姉妹も今シーズン一番の出来ともいえる舞台で、期待にこたえられたと思います。
さて「のざらし姫」寄せ場巡演も後半戦。今日は渋谷・美竹公園で14:00スタート。四条河原〜皇紀2600年奉祝芸能祭会場〜武漢と時代を超えて阿国一座が大暴れします。
さすらい姉妹、本日は横浜寿町!
2021年最後の日は新宿到着と同時に粉雪がはらはらと舞い降りてきました。こんななかで野営する、仕事を奪われたり、いろんな事情をかかえたりしている野宿者たちにひとときのあったかい気分を提供しようとさすらい姉妹は寄せ場を巡演いたします。噴水前広場は開演が迫ると同時に寒気につつまれましたが、数十名の見物衆も寒さに耐えて参集してくれました。本日は横浜寿町。昼の15時スタートですがご覧になりたいかたはどうぞあたたかいお召し物でいらしてください。
さすらい姉妹、本日より寄せ場巡演に出立!
eitoeikoでのテイクオフに成功したさすらい姉妹は稽古場も漂流。昨日から三ノ輪「あうん」で最後の調整に汗を流した。
演出の意図をうけ、台本も若干書き直された。今日は新宿中央公園。巨大な墓標にもみたてられる都庁の足下、新宿連絡会が野営する噴水前広場で巡演の幕をあける。
渋谷が完全フリーな入場ができないので都心でみられるのはこの日かぎり。天気晴朗なれども冷え込み厳し。しかし路上に廃棄されたかのような野宿者たちは毎日この寒さと生存を賭して闘っている。
路上芝居・さすらい姉妹はもともと山谷の日雇労働者たちとともに在らんと意思して展開されてきた。時代は移れども精神は露ほども錆びついていない。こころして来たれ。
のざらし姫、開幕!
今季のさすらい姉妹が神楽坂eitoeikoにて数十名の観客をあつめて開幕しました。
ふだんは芝居とは無縁なホワイトキューブ的展示場ですが、この日は熱気あふれる劇場に変身。どんな場所でも上演してしまう、さすらい姉妹の独壇場でした。物語は近世〜近過去〜現在を流浪する出雲阿國航海記。軸になる六名の役者が春まで待てじと大暴れしました。
ひきつづき役者徒党は寄せ場を漂流、羽村宗禅寺にて最終公演をおこないます。ぜひご参集を!