出雲阿國航海記、開巻!

本番まえにあがった雨が顔見世に入ると一転、荒天のなかでの開幕。雨音も味方につけ、水の族にふさわしい初日となりました。この地に一座建立して2年目、羽村や近隣の街から駆けつけてこられたお客様の暖かい眼差しに背中を押され、2日目も跋折羅者たちが傾きます!

本日は宗禅寺にて「Back To/Think About 1972 これまで/これからの沖縄について」、明日は野外儛臺にて「クラウンパレード in Tokyo」を開催。芝居いがいにもイベントが目白押しです。→https://suizokukangekijou.com/next/
ご期待ください!

本日初日開幕!!

予定どおり本日19時から開演します。
チケットの販売、および入場整理券の配布は17時から木戸にて開始します。鬼海弘雄野外写真展、千葉大二郎巨大水車、流浪する古書展は16時から野外儛臺脇にて、坐禅会は17時半から宗禅寺でおこないます。詳しくはこちら→https://suizokukangekijou.com/next/

雨天決行です。雨天の場合、簡易のレインコートを木戸で配布しますが、ご自身で用意していただけると安心です。 (後ろの方が見えなくなってしまうので、傘は閉じていただきます。レインコートをご用意ください。)また、上演中、肌寒くなることがありますので羽織れるものがあると安心かと思います。

感染症拡大予防のため、体調の優れない方はご来場をご遠慮ください。場内ではマスク着用をお願いしています。ご協力をよろしくお願いします。

皆さまのお越しをお待ちしております!

「風ッ喰らい時逆しま」上映決定!

翠羅臼が作・演出を担い、桃山千代次が在籍した伝説の野外劇集団曲馬舘の旅興業を追ったドキュメンタリー「風ッ喰らい時逆しま」の上映が決定!
休演日の6月7日の午後7時に宗禅寺にて、無料です(上映時間は88分)。今年没後10年を迎える布川徹郎が列島をラディカルに縦断する役者集団を活写します。お見逃しなく!

また、FISHBONEonline_07と08が同時更新されました。2017年の「盜賊たちのるなぱあく」で鬼海弘雄さんとの縁をつないでくれた長瀬千雅の文章と「高江・辺野古連帯 オカヤドカリの会」の機関紙、通信2号に発表した桃山の文章です。明日からはじまる野外写真展と5月28日の「Back To/Think About 1972 これまで/これからの沖縄について」をみるまえにぜひご覧ください。→https://suizokukangekijou.com/fishbone/

巨大水車&流浪する古書展最終調整完了!

今回の野戰攻城に出演する古本遊戯流浪堂店主・二見彰みずからが建て込んだ「流浪する古書展」。学芸大学の地で22年間営業したビルの解体のため今年の3月末日に一旦店を閉じ、あらたな場処をもとめて羽村の地にたどり着いた。本を並べる什器ももちろん店主の手ずから。ここでしか実現しない選書をぜひご覧あれ!

千葉大二郎の野外作品である巨大水車「HASSUISM-WM」も水のからくりを仕込み終え、あとは開場を待つばかり。果たしてどのように芝居に登場するのか!入場無料、芝居上演日+6月2日の午後4 時から開場。お楽しみに!

特別イベントのチラシ続々到着!

ふたつの特別イベントのチラシが出来あがりました。

鬼海弘雄野外写真展「人間の海2022」は、2017年の「盜賊たちのるなぱあく」で鬼海さんとの縁をつないでくれた長瀬千雅の文章を掲載。展示期間中に野外儛臺で配布されるほか、近日中にホームページ上のFISHBONEonlineにアップ予定です。

「Back To/Think About 1972 これまで/これからの沖縄について」のチラシは今後宗禅寺近隣をはじめ徐々に街角に拡散していく予定です。つい先日まで国会議事堂前でハンガーストライキを決行していた元山仁士郎さんの参加が確定!すでに半分の席が埋まっています。ご予約はお早めに!→https://suizokukangekijou.com/2022_0508/
※チラシには3時までと書かれていますが、正しくは3時半までです。

水の通信&グッズ完成!

水族館劇場のアクチュアルな機関誌fishboneの74号が齋藤基正のデザイン、藤本正平の写真を装い完成!総勢16名もの執筆者という空前のヴォリュームです。入場時に配布されますのでご覧ください。

またアーティスト千葉大二郎が昨年作成した「水族館劇画」が、今回特製ステッカー&ポストカードに変成して登場、なんと新作描き下ろし含みます!こちら木戸にてお求めください。ほかにも様々な水族館劇場関連書籍やCDも販売予定。この機会にぜひお手にとってみてください。

撮影©DJ.YOU

ようこそ!天飈の鹿砦へ。

宗禅寺で催されたリアルてらこやに参加したこどもたちが野外儛臺を訪れ、稽古を見学した。突如あらわれた筍に質問が集中するなか、するどい指摘も。なぜこの場所で芝居をするのか。じぶんたちの手でつくるのはなぜなのか。芸濃町での公演が地域劇団の発足を促したように、この野営が遠くない未来なにかに実をむすぶことをひそかに希いながら、果てもない道中はつづく。

FISHBONEonline_06が更新されました。2021年、流浪堂で開催された「アントロポセンの空舟」関連企画パンフレットです。桃山は芝居とは違った風景を音楽に見ていたのかも知れません。ご一読ください。→https://suizokukangekijou.com/fishbone_online/2022_05/

これで見納め、桃山マジック!

2004 さすらい姉妹「無知の涙」「忠治旅日記」宝塚・大林寺二本立て公演

なにごとにも訣かれはやって来る。それが突然か、緩慢かの違いだけだ。

35年の長きにわたり桃山は水族館劇場を現代河原者の徒党ととらえ、先頭にたって牽引してきた。台本を書き、演出をしかけ、サーカス一座のように全国に神出鬼没の仮設小屋を建ててきた。われわれの副司令官はイメージとうらはらに精神はフラジャイルそのものだった。

花が散るのをみても涙ぐみ動物園につれていっても怖がる幼子だったという。文弱、長じて屈強。若き日に強い影響を受けたという竹中労そっくりだ、野戰攻城のような力業は本来、苦手だったのかもしれない。繊細な気質を表にださず、台本を仕上げることより現場で声を嗄らしていた姿からみても、無理を重ねていることは明らかだった。とくに分裂騒ぎが起こってからの8年は、公演地さがし、制作、劇場設計、資材交渉、仮設工事、作・演出、舞台設計、衣裳、音楽、あらゆる面でリーダーを引き受けながら芝居をつづけた。なにより集団論(仲間とともに在るとはどういうことか)の根拠をつねに問いかけつづけた。座付き作者としての使命を全うし、みずから書きたい題材よりも集まってくる役者ひとりひとりの個性をいちばんに考え、当て書きの手法を貫いた。つぎの棟梁、秋浜立が育つまで歯をくいしばって復活のためのハードワークに耐えた。結果、身体が修復不可能になってしまった。

本人は「そろそろ地上から去る終い支度をしなければならないね」と呑気に笑ってる。桃山の滅尽すなわち水族館の消滅と短絡しないでいただきたい。水族館劇場は桃山と心中しない。かたちを変え、こころを別の身体に宿してあらたな獣道を歩いてゆく。現代河原者の役者徒党は彼の意思を継いで生き延びる。未発表の台本も机の奥に睡っている。水族館劇場と桃山の仕事を愛してくれたサポーターが残っている。

水族館劇場を応援してくれた全国のみなさま。どんな窮地でもひるむことなく可能性をひらいてきた桃山マジックは、今回が見納めです。万難を排してのご観劇、なにとぞよろしくお頼み申しあげまする。

水族館劇場副司令官・桃山邑、これにて退散仕る②補遺

工藤正市は津軽のブリューゲルって勝手に呼んでる。飯場にはいったときからまわりの職人はみんな津軽の出稼ぎだったからさ、格別おもいがあるのかなぁ?何度も遊びにいってるし。永山則夫が処刑された夏、板柳の長屋にもいったなぁ。朽ちかけてたけど、まだ取り壊されてなかったよ。

——みんな東北ですね

川田喜久治は北関東だよ。俺ん家のほう。やっぱり西のほうには近づきたくないのかもしれないね。「地図」のオリジナルは数十万するから手が出ない。月曜社という人文系の出版社がキチンと復刻してくれたんで買っちゃった。

——森山大道とかどうなんでしょう?

あんまりよくわかんない。なんか時代の文脈ごと透けて見えちゃうような部分があるだろ。そこがいいのかもしれないけど、ちょっときついな。ぜんぜん脈絡ないけど、志村けんの芸がダメなんだよ。ものすごい緻密に笑いを組み立てて稽古重ねるような底がみえたとたん、こっちが苦しくなるんだ。いい加減が一番かな。

工藤正市 新町通り(富士屋デパート前)

川田喜久治「地図」復刻 2005 月曜社

鬼海弘雄 野外写真展  人間の海2022

鬼海弘雄「東京ポートレイト」より

「王たちの肖像」にみる度外れな世間のひとへの優しくするどい観察眼。「INDIA」にはじまる異国の旅への哀惜。鬼海弘雄はたくさんの写真によるギフトをぼくたちに残して地上を去っていきました。水族館劇場に遺品として託された巨大肖像パネルを生かすために、今回みたびこれらの作品を天幕のあちこちに飾ります。かぎりなく撮られる側によりそった写真師のまなざしに囲まれた野戰攻城はきっと一味ちがう希望を観るかたがたに届けてくれることと信じています。題して「人間の海2022」遠からぬ日に彼と再会するであろう桃山なら「これもふくめて芝居」とうそぶくでしょう。野外儛臺「天颷の鹿砦」開催日にあわせて午後4時よりオープンいたします。今回の野戰攻城は5年前の「盜賊たちのるなぱあく」の再現のごとし。昨年、開演まで手持ちぶさたの時間をすごしたお客さま、今年は時間が足りないくらいのイベントを用意しました。羽村みやげにゼヒご高覧を。

会期:芝居上演日&6/2 16:00〜
料金:無料

鬼海弘雄(きかい・ひろお)
1945年、山形県生まれ。主な作品集に『王たちの肖像 浅草寺境内』『INDIA』『東京迷路』『PERSONA』など。エッセイも手がけた。2020年に逝去。